吹上温泉
吹上温泉は北海道空知郡上富良野町にある。十勝岳の山腹にあって、車を走らせてさらに標高をあげれば十勝岳温泉がある。十勝岳温泉のことは「十勝岳温泉、凌雲閣。北海道一高所、マイナス10℃の露天風呂。」に書いた。
吹上温泉といえば、女優の宮沢りえさんがドラマ「北の国から’95秘密」で入浴した温泉ということで一躍有名になった。とはいえ、もはや今から27年前のドラマで知ってる人のほうが少ないかもしれない。事実、僕もあのシーンはおぼろげにしか記憶にないし、ロケ地が吹上温泉だったことは今回初めて知ったほどだ。撮影時には乳白色になるように入浴剤を使っていたという事実も初めて知った。なんだか、残念な事実だった。
時代は進み2017年(平成29年)、テレビ東京の番組「Youは何しに日本へ?」でオーストラリアの方が露天風呂から雪にダイブしたことでまた注目された吹上温泉。この番組以来、冬に吹上温泉のサウナに入ったあとは露天風呂から雪にダイブする若者があとをたたないとか。今回訪れたときもダイブしてる若者がいたけれど、僕は寒すぎて到底真似できなかった。
吹上温泉は、1897年(明治30年)の発見であるというから歴史は古い。
明治末期には温泉宿の営業が始まり、湯治場として栄えたらしい。1943年(昭和18年)に温泉宿は廃業してしまったらしく、1962年(昭和37年)の十勝岳の噴火後には温泉の温度が入浴できないほど急激に下がってしまったという。温泉は自然の恵みであることが実感できる出来事だろう。
そして、1988年(昭和63年)、再び十勝岳の噴火が起きると湯温は上昇に転じたというからおもしろい。1991年(平成3年)、「吹上露天の湯」として露天風呂の整備が実施され、1997年(平成9年)には、山小屋「白銀荘」が温泉施設として整備されて現在に至っている。
白銀荘
2022年1月16日(日)、別のブログで書いた「冬の北海道、富良野の旅。」で立ち寄ったのだ。宿泊した上富良野町のペンション「旅の宿ステラ」のご主人がせっかくだからと夕食後に連れて行ってくださった。ありがたい。
日帰り入浴は700円だった。どうやら素泊まり限定で宿泊もできるらしい。近くにはキャンプサイトもあるそうだ。ソロキャンプブームの昨今、夏にはきっと大勢のキャンパーたちで賑わうのだろう。
同じ十勝岳の山腹でもこうも泉質が違うのか、白金温泉は茶褐色、十勝岳温泉は濃い茶褐色、吹上温泉は無色透明だった。Wikipedia曰く、「カルシウム・ナトリウム – 硫酸塩・塩化物泉(酸性低張性高温泉)(旧泉質名:含石膏 – 酸性泉)」だそうだ。自然というのは何とも不思議で、だからこそ尊い。
源泉かけ流し、加温、加水、塩素はなし。
かつて山小屋だった白銀荘はどことなく雰囲気があった。しっかり管理も行き届いているからか、月日を感じさせないくらいきれいだった。洗い場は10人前後か。内湯も露天風呂もそれなりに広かった。露天風呂は細長く、手前が熱く、奥がぬるい。僕には手前は熱すぎて、奥のお湯がちょうど良かった。内湯も僕には熱かった。
TVの影響もあってなのか吹上温泉はサウナが有名らしい。正直、サウナの良し悪しはよくわからないけれど、白金温泉や十勝岳温泉のサウナに比べると設備も充実していて確かに気持ち良かった。そして、冬は、雪にダイブ。改めて言う、僕は到底真似できなかった。
以下、この日の主観的な評価。あくまで主観なので要注意。
温泉の気持ちよさ | 3.5 |
雰囲気、味わい | 4.0 |
施設の充実度、清潔感 | 3.0 |
当日の接客 | 3.0 |
コスパ | 4.0 |
総合 | 3.5 |
温泉は気持ち良かったけどちょっと僕には熱かった。雰囲気や味わいは良い。施設の充実度や清潔感はふつう。フロントの接客もふつう。700円で入れるならコスパは良い。今度訪れる機会があれば、黒坂五郎と小沼シュウが混浴した野湯にも入ってみたい。
【おわり】